Project Story プロジェクトストーリー
数十億円の大型取引で
発生したトラブルを解決へ
クライアントとの
信頼関係を実感した瞬間
                                    - ベースメタル事業部
 - 2023年入社 S・I
 
01トレーディングのサポート業務とは
世界をつなぐ銅精鉱取引、その裏側を支える
私は入社以来、ベースメタル事業部で銅精鉱トレーディング業務のサポートを行っています。銅精鉱とは、採掘した銅鉱石から不純物を取り除き、銅の含有率を20~40%程度にまで高めたもの。海外で生産された銅精鉱からさらに金属を取り出して純度を高めていき、含有率約100%の銅という素材をつくるのが製錬所であり、私のお客様は主に日本国内の製錬所の方々です。

私はそのお客様と、当社の兄弟会社である在シンガポールRtM Internationalのトレーダーとの間に立ち、両者間の銅精鉱取引のサポートをしています。
その他、お客様が他社から銅精鉱を輸入する際のサポートも行っています。銅精鉱の産地は南米、北米、オーストラリア、東南アジアなど、海外の遠方です。そのため、船に乗って日本に運ばれてくるまでに、長い場合だと2ヵ月以上掛かることもあります。船の動向――今どのあたりにいるのか、トラブルはないか、いつ頃に日本に到着する見込みかといった情報をお客様に伝えたり、通関業務を行ったりすることも重要な任務です。
また、三菱商事RtMグループはシンガポールや日本以外にも、インド、アメリカ、イギリスなどに拠点がありますので、こうした拠点からシェアしてもらった世界各国の市場の動向を国内のお客様にお伝えし、銅精鉱の調達計画に役立てていただくことで、信頼関係を構築しています。
今回ご紹介するのは、RtM Internationalのトレーディング業務において発生したトラブルを、私がサポーターとしての立場から解決に導いたエピソードです。
02南米出張中にトラブル発生
トラブル発生時に求められた判断力
2025年4月、南米で銅業界の国際的なイベントが開催されました。世界中の鉱山会社や製錬所、トレーダーが数千人規模で集まるこのビッグイベントに、私もRtM Internationalのトレーダーと共に参加。業界大手の間で交わされる市場動向に関する情報交換や、銅精鉱の売買交渉を目の当たりにし、市場全体が動いていく光景に圧倒されていました。
その最中に、RtM Internationalが販売するアメリカ産銅精鉱を、中国の製錬所へ届けるという取引にトラブルが生じました。というのも、その頃ちょうど第二次トランプ政権がスタートし、米中間の貿易摩擦が深刻化。同国間の取引に高い関税がかけられる恐れから、中国の製錬所がアメリカの銅精鉱の輸入を控える動きが始まっていました。その一環で、本件も、船の手配完了間近になって中国側から急遽「銅精鉱を受け取ることができなくなった」と連絡が入ったのです。
そのインパクトをイメージしていただくためにお伝えしておくと、銅精鉱の取引は1万トン単位で行われ、全長190メートルほどの船で輸送されます。そして、1度の取引金額は数十億円にのぼります。返品や契約破棄をすれば、取引先との信頼関係が失われてしまいますので、急いで代わりに購入してくれるお客様を、地理的に近い日本で探す必要があると判断しました。


03普段からの信頼関係が実を結んだ瞬間
ピンチをチャンスに変えた瞬間
トレーダーからの相談を受けて事の重大さを察した私は、その場ですぐにお客様へ電話。前向きなご返答をいただけたと同時に、そのお客様も同じイベントにいらっしゃっていたため、時差の問題も無くすぐにトレーダーにつなぎ、スムーズに交渉を進めてもらうことができました。トレーダーからはスピーディな対応にとても感謝されたと同時に、普段から私がお客様のニーズを把握し信頼関係を構築しているからこそできたことだと、労いの言葉をいただきました。
実際、お客様との関係構築にはいつも注力していたので、それが実を結んだことはとてもうれしかったです。商社が取引先との関係を構築するうえで重要なのは、何よりもまず当社の価値を感じていただくこと。そして商社の価値とは、情報量とコネクションにあると思います。「この商社は最新の情報を持っているな」「複数の情報ソースがあって信憑性があるな」と思っていただけることが重要と感じます。
しかし入社1年目は、受け取った情報をそのままお客様にお伝えするので精一杯。2年目になり、業界やビジネスについて学んでいくうちに、だんだんとその情報に付加価値をつけることを意識するようになりました。具体的には、業界内のニュースをお伝えするときにも、その出来事によって市場にどのような影響が起こりうるかまで調べ、現場に近い拠点から生の情報を確認し、お客様へ提供するようにしています。「三菱商事RtMジャパンの担当者といえばIさん」と一番に思い出してご連絡いただけるポジションを目指し、これからも業務に邁進したいと考えています。

04最前線で活躍するトレーダーを目指して
いつかは頼られるトレーダーに
トレーディングのサポート業務を通して経験を積んだ後は、やはりトレーダーを目指したいですね。前述した銅業界のイベントで、普段自分がシェアしてもらっている、各国間の取引に関する一次情報が次から次へと生まれていくダイナミズムを目にしたことで、よりその思いを強くしました。また、今回のトラブル対応に関しても、普段お客様を担当し、様々なご事情を理解している私だからこそできる取引の形もあるのではないかと感じました。それを実現するためにも、ゆくゆくは海外拠点に駐在し、トレーディングの最前線に立ちより広い視野と経験を手に入れることで、将来的に日本への資源供給に貢献できる人材になりたいです。
商社パーソンに必要なのは、当事者意識だと個人的には思っています。どうすればお客様に価値を届けられるか。お客様が本当に欲しているのは何か。常に考え、探究し続けることに楽しみを見出せる人と、是非一緒に仕事してみたいです。
                                            そんな皆さんとお会いできることを、楽しみにしています!
- 役職・所属は取材時のものです。